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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

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整動鍼は何から受けたらいい?

整動鍼は何から受けたらいいの?

 

代表の栗原誠です。

症状別にセミナーを組んでいることが多いなか、整動鍼では異なる組み方を採用しています。一番の理由は原理原則を伝えたいからです。ですので「腰痛を治せるようになりたいんだけど、どのセミナーを選んだらよいかわからない」という事態を招いてしまいます。

「症状別にした方がわかりやすいくなって受講者が集まりやすいよ」というアドバイスをいただいくこともあるのですが、症状別にしない方が整動鍼の価値が伝わるというのは、これまでの受講者のその後を見ていても間違いありません。

はじめての方には入門(1編)、基礎(3編)の4つを用意しているのですが、どれから受けても問題ありません。胃腸を整えたいとはっきりした目的がある場合だけ基礎の腹背編がおすすめしています。とはいえ、腹背編を受講された方のほとんどが他の編も受けているので、あまり気にしなくてもいいような気がします。

受講者の中でも、どこから受けたらよいかは意見が分かれていて、結論は出ていません。カリキュラムの作り手としては順番に関係なく受けられるようにと思っているので、この状況に満足しています。

整動鍼セミナーが気になるなら、気になったときが一番の受け時です。

嬉しいことに今年の後半からセミナーが復調してきました。受講者の人数が戻ってきましたし、講義やセミナーをやってほしいという声も増えています。出張で大忙しな毎日が戻ってくるかもしれません。私の努力次第ですね。伝えたいことが山ほどあるので、積極的に情報発信をしていこうと思っています。

単独開催のセミナーはもちろんですが、コラボセミナーにも積極的です。手を取り合えるところとはどんどん協力していくというスタンスです。

来月(11月)の23日(祝)もコラボです。神戸鍼灸マッサージ師会との共催で、兵庫県鍼灸マッサージ師会に後援していただきます。整動鍼が世に出たのは2014年。「せいどうしん、なにそれ?」という時期を経験しているので、協力関係が築けていることが嬉してたまりません。

はじめての整動鍼」と題したこのセミナー、例のごとく、どんな症状に使えるのかわかりにくいです。というわけで、このセミナーを受けるメリットを説明していこうと思います。

 

「はじめての整動鍼」で得られること

①解剖学や経絡では説明できない身体の法則(ふしぎ)に出会える

物理的に説明できる構造から原因を探すのが基本だと思います。しかし、体には不思議がたくさん残っていて、想像が及ばない反応がたくさん見られます。鍼灸の古典的理論の経絡学は、解剖学とは違った視点を私たちに与えてくれます。

その経絡学も万能ではありません。理論の一つでしかありません。とはいえ、古典的鍼灸の柱となっているものなので、こうした言い方は反感を買いやすいです。それでも、私は経絡学は完全な理論ではないと言い切ります。

神秘の塊である人体を前にして完全なる理論があると考える方がどうかしています。私が提唱している整動鍼も不完全です。不完全ながらも、解剖学や経絡学では説明しづらい現象(反応)を説明できるのです。

筋肉は引っ張る力、つまり張力を持っています。この張力が全身に張り巡らされているわけですから、人体というのは張力のバランスで保たれていると考えることができるのです。関節個々の張力は筋肉の起始と停止で説明できますが、全身の張力となると、個々を見ていてはわかりません。整動鍼の基本となる張力理論は、全身に視点を置くことで初めて理解できます。

張力を意識できるようになると、症状をこれまでと違った角度から見られるようになります。特に運動器疾患では顕著です。肩と腰の関係を張力で理解すれば、肩こりの治療をしつつ腰痛を改善させたり、逆に腰痛の治療をしながら肩こりを改善させたりということが普通のことになります。

腰痛の治療一つとっても、張力を知っているとアプローチの仕方は無数に出てきます。肩甲骨から攻める方がよいときもあれば、股関節から攻める方がよいときもあります。知れば知るほど、腰痛治療にパターンがあることに気が付きます。将棋と同じで、手を一つ紹介して「これが最善の手です」とは言えなくなるのです。

体の張力パターンを一つひとつ覚えていって、その時に必要なところを調整するというのが整動鍼です。各編はそれぞれ違ったテーマで張力パターンを紹介しています。パターンを利用すれば、入門でも基礎でも腰痛にアプローチできます。「はじめての整動鍼」も然りです。

はじめての人が興味を持てるような張力パターンを紹介して一緒にやってみます。特に、肩甲骨と骨盤の関係に力を入れています。

②鍼は刺すだけで即効性があることを再確認できる

当たり前のことではあるのですが、鍼灸師でも「鍼って本当に効くの?」と疑問視している人がいます。鍼に効果があることは明白の事実です。ただ、体に起きている反応を見逃してしまうと、効果が疑わしくなってしまうだけです。

考えてみてください。鍼が触れたり刺さったりしているのに反応しないなんてことありませんよね。その反応が起きているところを見ていないだけなのです。

刺鍼点(ツボ)によって、反応が起こる場所は変わります。だからこそ鍼治療が高度な医術に成り得るのです。どこに鍼をしても同じであれば、ただの金属刺しです。鍼治療に可能性があるのは、鍼をする場所によって反応が変わるからです。

鍼治療の本質は、何で刺激するかではなく、どこを刺激するかにあります。現時点における最適解が鍼ということだけです。お灸についても同様のことが言えますが、市販のお灸は、鍼のように点ではなく面に熱を与えるため、鍼で見られるような機敏な反応は得にくいので分けて考えたいと思います。鍼灸師による灸においても用具や方法がさまざまであるため、言及が難しいところです。

③ツボがわかるようになる

ツボは、流派や鍼灸師によって異なるものですから、私が定義できるものではありません。とはいえ、全くツボがわからないのであれば今の私はありませんし、私は感覚的にはっきりとわかるツボがあります。

教える立場になって、自分の感覚だけでわかるものはナシと決めています。私は名人を目指していないので、私ならではの技術なんていりません。誰でも使えるものを見つけてシェアすることを目指しています。

そういう意味で一番最初に磨く感覚は密度感です。「気を感じる」と表現される鍼灸師もいますが「気」という言葉はいくらでもごまかしが利くので、私は使いません。密度感は五感で説明できます。空気がしっかり入っているタイヤと空気の抜けたタイヤは、触って区別ができますよね。それに近いものがあります。

ただし密度だけがツボの指標ではありません。指標の一つです。張力を調整するには密度感で診るのが最適なのです。張力のバランスが悪いところには、必ず筋肉の過剰収縮があるからです。その位置を密度感で探します。コツをつかめば誰でもわかります。特別なセンスは必要ありません。

④肩こりと腰痛に使える手法を学べる

肩こりや腰痛で使える方法を用意していくつもりです。これさえ習えば、どんな肩こりもどんな腰痛もきれいになくなります、というものではありません。数時間で肩こりと腰痛の手法をマスターできるほど、臨床はあまいものではありません。私が馬鹿正直に伝えるものだから、「整動鍼は色々覚えなければならなくて難しい」と思われるのですが、難しいのは整動鍼ではなく身体の方です。

いくら覚えるのが楽でマスターするのが簡単でも、実践で役立たなかったら意味がありません。整動鍼は実践で役立ったものを整理して理論化しているので、パターンに当てはまれば確実に効果があります。効果は動きの変化や触診で体感できます。

「はじめての整動鍼」は常駐の入門と何が違うのか

第一に参加費が違います。神戸鍼灸マッサージ師会との共催ということで参加費が大幅に安くできました。実践ですぐに試せるものをピックアップしてお届けします。

また、オンラインでの受講が可能です。オンラインは自宅で学べるというメリットがありますがデメリットもあります。やっぱり会場の参加には及ばないと思います。実際の体に触れながら学ぶのと視聴するだけでは理解度に大きな差が出ることが予想できます。

とはいえ、完全に諦めているわけではなく映像で伝わりやすいものを選んで実演しようと思っています。面白そうと思ったら「入門 理論実践編」の受講もぜひ検討してください。「入門 理論実践編」は内容が異なり、整動鍼を使う上でベースとなるツボを理路整然と伝えます。

興味がある方は、内容が全く異なるので両方受講していただく方が学びが多いと思います。

整動鍼 入門「理論実践編」

2022年10月25日カテゴリー:セミナー案内