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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

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鍼灸師の上手さって何だろう?(秋合宿2023)

代表の栗原です。

今回は先月、埼玉県の浦和市で開催された合宿についてレポートします。

鍼灸師の上手さを基本から考える、ド基礎を見直そうというテーマです。昨年が好評だったため、今年は定員を増やして募集をしました。ありがたいことに満席。はじまる前からテンションが上がっていました。

定義のない上手さ

誰も正確に答えられないのがこの問題です。鍼灸師の上手さは定義されていません。あるのかもしれませんが、鍼灸師の技術は多面的ですから一つに絞れません。

それでも私たちは上手くなっていかなければなりません。上手さを定義して練習するのです。ただ、それを一人で実践したら独りよがりになってしまう可能性があります。上手さの基準はいろいろあるとしても、少なくとも仲間と「それいいね!」という共通認識が必要です。

先月は、昨年と秋合宿を行いました。埼玉県の浦和市に集まったのは、私も入れて30名。全国の鍼灸師と学生が足を運んでくれました。募集の途中で受講枠を増やしたくらい人気の企画です。昨年と同じ会場(和室)に入ってみると30名でぴったり。これ以上多いと窮屈かな…。

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新しいツボを学ぶだけでは

詳しいレポートに入る前に、この整動協会に触れておきます。鍼灸師の世界には、いろいろな学術団体があるのですが、整動協会もその一つです。2009年に発足した前身団体があって、2017年に「整動協会」と改称し一般社団法人となりました。200名を超える鍼灸師が所属しています。

従来の鍼灸にはなかった「動きとツボの関係」に着目して、ツボの新しい作用について研究しています。日頃は、ツボの新しい作用を共有するセミナーを開催しています。ツボの位置をミリ単位で正確に取って、みんなで作用を再現しています。実技中心ですから、練習といえば練習ですが、時間の制約がありますからツボの位置が合っていればOKとセミナーが流れていきます。基本技能にはフォーカスできていないのです。私を含め、そういうものだと割り切れない人たちがたくさんいるのです。

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プライドを捨てる

この合宿では新しいツボはいっさい取り上げず、基本技能を向上させるために練習を行います。実は、鍼灸師が練習できる場はそう多くありません。開業している鍼灸師は、患者さんの施術を通して向上していく場合がほとんどです。

実践こそ最高の練習の場という考えもありますが、患者さんが悪い癖を教えてくれるわけではありませんから、「もっとこうした方が上手くなる」とプロ同士で意見交換をする場がないと課題にいつまでも気がつけません。

こうした練習の現場はプライドを捨てる場でもあります。参加したら実力が透けて見えますから、「自分は上手いことにしておきたい」というヨコシマな気持ちが少しでもあったら参加を躊躇するでしょう。みんなプライドを捨てて技術と向き合ってくれます。

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技能の言語化

練習メニューをつくるのが私の仕事です。合わせてデモンストレーションも必要です。必要になってくるのが技能の言語化です。むずかしくもあり楽しくもある作業です。何気にやっていることを細かく分析する作業と、私自身に修正を加えていきます。私のレベルアップに直結します。

鍼灸の施術は、鍼を刺したり灸をすえたりするだけではありません。それ以前の触診が本当に大切です。すべての技能は触診の延長上にあると言っても過言ではありません。少なくとも、私たちの勉強会では触診の技能を上げることに努めています。

どんなに多く知識を蓄えても、触診で異常感を捉えることができなければ、鍼や灸をするツボの正確な位置がわかりません。逆に言うと、確かな触診さえ身につければ知識が役立つようになっていきます。

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触診で理解する

私が触診でもっとも大切にしているのは患者さんと共有することです。鍼灸師が触れて違和感を覚えるところは患者さんも違和感を覚えている可能性が高いです。逆も言えます。

患者さんと違和感を共有することは、患者さんを理解することです。触診とは、患者さんを理解することだと考えています。触診で得る情報は問診では得られない情報です。患者さんの話をよく聞くだけでなく、患者さんのツボの話をよく聞くようにします。それができる職業が鍼灸師です。

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お互いに鍼をする

患者さんから「具合が悪くなったときは自分でハリをするんですか?」と訊かれることがあります。そういうときもありますが、近くに鍼灸師がいる職場であれば練習と互いにやることもあるでしょう。そういう環境がない鍼灸師もいますからこうした時間は特別です。

鍼を刺す技術は触診の延長にあると考えています。触診で捉えた深さと方向にそのまま刺鍼します。ですから、触診が曖昧なら刺鍼も曖昧になってしまいます。ここでは理論はさておき、触診した違和感に正確に鍼先を届けられるように練習を繰り返しました。正確な刺鍼ができなければ理論は活かせません。

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当たり前をやる

ここまで読まれた方は「な〜んだ、特別なことは全然やっていないんだ」と期待を裏切られたと感じているかもしれません。でも、その当たり前が大切だと思うのです。特別なテクニックを使える鍼灸師はすごいですが、当たり前のことを着実にこなせる鍼灸師もすごいと思うのです。少なくとも私はそう考えています。

参加してくれた鍼灸師から言われました。「本当は、最初にこれをやるべきなんだよ」と。続けて「でも、基礎の大切さを理解できるのは一通りやって壁にぶつかったとき」と言いました。基礎練習は地味で面白くありません。新しいツボを教えてもらう方が興奮します。

私も同じ意見です。ただ、このような基礎をやるセミナーを初学者向けにやっても人は集まりません。無料でやっても参加してくれません。順番は逆になりますが、いろいろなツボを学んでから基礎に戻るのです。中には早い段階で当たり前の重要性に気がついて参加してくれる人もいます。

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おやつ会

合宿の醍醐味は何といっても合宿であることです。1泊2日の合宿。1日目の夕食後はおやつ会と称した懇親会でした。練習場となった和室におやつとソフトドリンクを用意。お酒だけは持参というルール。雰囲気はちょっと修学旅行。年齢層は親世代ばかりですが。

居酒屋みたいにちゃんとした席がないので席の移動に抵抗がなく、しゃべりたい人の隣はすぐにゲットできます。私もグルグルと回っていろんな話をしました。悩むところは一緒だよね〜と思うことばかり。

みんな大なり小なり孤独感を抱えています。好きでなった職業だからといって、いつでもハッピーというわけにはいきません。好きだからこそ妥協できない苦しみもあります。喜びは患者さんが良くなってくれたときに感じますが、良くならなければ悩みになります。

悩みをわかってくれる仲間がいるだけで楽になります。

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仲間づくり

技術を誰かに教えたいだけならセミナーだけあればいいのですが、そこで得た知識やノウハウを使いこなすには練度を高める必要があります。今回の報告している合宿はまさに練度を高めるための場でした。短い時間の中でいろいろな鍼灸師に触れられると「人によってこんなに違うんだぁ」と気づきます。

特別な才能というのがあるかもしれませんが、常識的に仲間がいないと上手くなりません。私が仲間づくりに重心を寄せた勉強会をしてきたのは、こうした理由です。もちろん私自身も成長のために仲間が必要です。

外から見たら仲間内だけで盛り上がっているように見えるかもしれません。そうかもしれませんが、知らない間柄から勉強を通じて生まれた関係です。数年前は名前も顔も知らなかった人たちがこうして集まって切磋琢磨しています。

早く溶け込めるような工夫もしています。名前を呼び合うことができるように大きめの名札を用意しています。名札のないセミナーでは、隣の人の名前もわからないままということがよくあります。それじゃ寂しいですよね。

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もちろん、来年もやります!

2023年10月10日カテゴリー:セミナーレポート, 活動報告