整動鍼が流派と呼べない理由
ツボ一つひとつの効果
整動鍼を流派の一つとして認識している人が多いのですが、整動鍼は流派ではありません。なぜそう言えるのか今回は説明します。
重要なことからお伝えすると、どの流派に属している人も、流派に属していない人も整動鍼を使うことができます。ただ一つの例外は、鍼を無数に刺していくような方法です。
なぜなら、整動鍼はツボ一つ一つが人体にもたらす変化を確認して整理しているため、一度に多くの鍼をしてしまうと体に何が起きているのか確認できないからです。何も特別な話ではありません。ツボ一つひとつに対してきちんと効果を確認することは、整動鍼に限った話ではなく、鍼灸師であれば向き合っていくべきことです。
整動鍼を流派と呼べない理由
整動鍼が流派ではない理由は、流儀を限定していないからです。簡単にいえば、整動鍼が伝えている「ツボと動きの関係」をどのように利用してもよいからです。問診はこうあるべき、触診はこうあるべき、刺鍼はこうあるべきと方法を強いることはしていません。
上手さについて考えることもしているのですが整動鍼セミナーとは切り分けています。前回の記事「上手さの徹底解剖」で書いたように、上手さを多面的にとらえて共有しています。また、私個人の流儀は合宿のみで伝えるようにしています。
セミナーでは、「このツボに鍼をすると、こういうことが起こりますよ」とメッセージをシンプルにしています。
整動鍼は自由でどう利用してもよいと考えています。私の真似をしてもよいのですが、真似する必要はありません。「整動鍼はこう使った方がよい」と鍼灸師の一人として個人的に思うところはありますが、それを共有したいがためにセミナーを開催しているわけではありません。
使い方を限定していない理由は、整動鍼の限界を私が決めつけてしまう可能性があるからです。始まったばかりの整動鍼(2014年〜)ですから、どこまでのことができるのか未知なのです。
実績はツボネットに集めています。無料で公開していますので、誰でも使ったツボにアクセスできます。
整動鍼にはなぜ可能性があるのか
整動鍼に可能性があるのは、「ツボと動きの関係」という視点でツボを整理しているからです。ツボとツボが織りなすネットワークを明らかにしようとしています。伝統的な鍼灸理論は「流れ」に着目しているので、動きの問題、つまり運動器系のトラブルには弱いのです。
誤解しないでいただきたいのは、整動鍼の方が優れていると考えているわけではないということです。「従来なかった視点からツボの効能を見ると、その分可能性が広がりますよ」と言いたいのです。仮に従来の鍼灸理論を否定してしまうと可能性を閉じてしまうことになりますので、従来の理論をリスペクトするほど整動鍼の魅力が際立ちます。
古典に対するリスペクトは、セミナーを受けていただくとわかるようになっています。整動に対して整流と定義して、ツボがもたらす内臓への作用を整理しています。
整動鍼はコンセプトである
従来の鍼灸は経絡を整えて内臓機能を回復させるものとして「整流」と呼び、当会が提唱しているのは、動きを整えて運動機能を回復させる「整動」を呼んでいます。このように鍼の目的を2つに分けることで、ツボの使い方に迷いがなくなってきます。中には整流と整動の区別がつかないものもありますが、話が複雑になるのでここでは控えます。
予備知識と特別な感性がいらない
整動鍼は学生からベテランまで受講することができます。ツボを覚えていないから心配という人もいるのですが、まったく関係ありません。学校で習ったツボを復習するのではなく、位置と効能のゼロベースで見直していくので予習もいりません。
新しいコンセプトの前では誰でも初心者なので上下関係も存在しません。コンプレックスもプライドも好奇心の前ではキャンセルされてしまいます。
もともと共有を前提に理論化されているので、整動鍼を使うために特別な知識や感性は必要ありません。学生でも十分に理解できる内容です。実際に、受講者の1〜2割は学生です。免許をとってすぐさま現場で活かす人が多いです。
ありがたいことに、このコンセプトの価値に気がつく鍼灸師が増え、会員は年々増えています。今は300人を目指して歩んでいます。一緒に学んでみたい方は、勇気をもってセミナーに申し込んでみてください。▶はじめて受講する方へ
2024年10月26日カテゴリー:整動鍼