【23年2月5日-6日】整動鍼 基礎☆脊柱編 セミナーレポート
2月5日〜6日の日程で「整動鍼 基礎☆脊柱編」が開催されました。
脊柱に鍼をしない「脊柱編」
整動鍼を創案した代表の栗原はいつも「脊柱編は一番整動鍼らしさが表れている一編です」と言います。
まだ、整動鍼なるものがこの世に存在していなかった頃、ひとり臨床でいろいろなツボの作用を研究していた栗原は、特定のツボに刺鍼することによって、脊柱を動かすことができることに気づきました。
頚椎7つ、胸椎12、腰椎5つ、合わせて24の椎骨を鍼の力で動かすことをコンセプトにしているのが、この脊柱編です。
カイロプラクティックなどを持ち出すまでもなく、体の支柱たる脊柱の微細なバランスが崩れることによって、人はさまざまな不調に見舞われます。そのバランスを取り戻すことで、もろもろの疾患に対処していくことが、鍼治療にも期待されているのです。
「脊柱を動かしたいのであれば、背骨のあたりに鍼をすればいいのでは?」と思われるかもしれません。確かに、その方がてっとり早く問題を解決できそうです。
しかし、脊柱が本来の位置から動いてしまっているのが、他の要因によるものだったらどうでしょう? つまり、脊柱が「原因」としてはたらいているのではなく、特定の部位が無意識のうちに緊張状態におかれ、その「結果」としてバランスを失い、さらにその「結果」として症状が出ているとしたら、どうでしょうか?
おそらく、背骨の周りに鍼をしても、原因を取り除くことは難しいでしょう。
その原因点として緊張状態におかれているのが、全身に散らばるツボであり、本編がとりあつかうものは、まさにこの一連のツボであるというわけです。
「どんだけマニアックやねん」
鍼治療というと、もっとダイナミックに「頭痛に効くツボ!」「腰痛に効くツボ!」「自律神経失調症に効くツボ!」という具合に、特定の部位に鍼をすることで症状が丸ごと消えるということを期待することが多いでしょう。
しかし、整動鍼による施術では、その「頭痛」や「腰痛」といった、大雑把なくくりをさらに細かく分析し、どの部位に問題が生じることで症状が出ているのだろう? というところまで考えます。
鍼灸師でない一般の方であっても、「背中からくる頭痛と首からの頭痛は別物であり、さらには腰からの頭痛というものもある」と聞けば、それが単なる「頭痛」という一語でひとくくりにできるものではないことは、容易に想像できるはずです。
そこで、脊柱編に出てくるツボの出番です。
背骨ひとつの状態を整えるために、ツボひとつに鍼をする。私自身も、はじめて聞いたときには「どんだけマニアックやねん」と思いました。
しかし、実際にそのマニアックな施術を使いこなしていけるようになると、これまで見ていた世界の解像度が上がり、鍼治療がおもしろくなってきます。ただの作業ではなくなり、思考を巡らす価値のある営み、語弊を恐れずに言うならば「知的ゲーム」になってきます。
今回、脊柱編に参加された方たちも、このマニアックな世界に驚き、興奮し、笑顔を見せてそれぞれのホームグラウンドに帰っていきました。きっとそれぞれの施術で、驚き現象を再現し、多くの患者さんを救っていくはずです。