セミナーは内容より雰囲気?
代表の栗原です。
今年はじめてのセミナーは刺鍼即応編でした。整動鍼のカリキュラムは、基礎、応用、臨床と進んでいくのですが、今回の刺鍼即応編は、はじめての方に整動鍼の美味しいところを1日で味わっていただこうという趣旨でした。その趣旨の通り、受講者18名(満席)のうち15名が完全にはじめてでした。
やさしい整動鍼
まったく予備知識がないのに大丈夫だろうかと不安を抱かれていた受講者さんがいたと思うのですが、整動鍼は誰にとっても初めてですから予備知識も予習も全く必要ありません。いったん従来の鍼灸理論を忘れて、新しい視点からツボの使い方を学ぶので学生からベテランまで同じスタートラインを引かれます。整動鍼セミナーは完全に初めての受講者さんにやさしいと思います。
とはいっても、慣れない場所で新しいことを学ぶのは緊張するものです。会場に集まってくるみなさんのお顔を見ていれば、その緊張ぶりが伝わってきます。何年も情報を追いかけていて、ついにこの日が来たという方もいらっしゃいましたから気合いも感じます。私からしたら、もっと早く来ればいいのにと思うわけですが、近くない会場に費用をかけて行かなければいけないので、簡単ではない事情もわかります。
内容より雰囲気?
セミナーで何より大事にしているのが雰囲気です。もちろん内容あっての雰囲気ですが、当日になってしまえば内容を変えることはありませんから、その場で注力できるのは雰囲気づくりの方です。受講者さん同士が自由に話をして友達のような会話が始まったらいいなと思っています。大半が実技なので、その練習中に受講者さん同士がおしゃべりを始めます。練習相手を変えていくので、色々な人と言葉を交わす機会があります。
私自身もセミナーや講習会に参加することがあるのですが、隣りに座った方のお名前がわからないと声をかけづらいです。1日中、誰なんだろう…と思いながら過ごすこともあります。うちのセミナーでは、声をかけようと思ったときに、すぐにお名前がわかるように、全員に名札を配布しています。本当は内緒にしたいくらい、名札は場の空気を柔らかくしてくれます。
仮に名前を明かしたくない、秘密で参加したい人にとっては邪魔な名札かもしれませんが、裏事情がある人が参加しづらいからこそ雰囲気がよいのかもしれません。受講中の写真も撮らせていただいています。ですので写真を撮られたら困るという人も参加しづらいと思います。
セミナーの目的
過去には「今お世話になっている勉強会に知られると困るので…」と、写真は困るという方がいらっしゃいました。最初は、写さないようにスタッフに指示をしていたのですが、ある時から、知られたら困るような会ではないし、そういう会にしてはいけないと方針を改めました。参加していることを知られたくない方に対しては、受講をやんわりとお断りするようにしました。
私も逆の立場になることがあります。うちで勉強されている方が他の勉強会に行かれることはよくあります。全く気にしていません。むしろ「よかったら教えてね」と言っています。セミナーは、その内容に人を染めることが目的ではありません。その人に新しい色を一滴垂らすだけです。その一滴がどう影響するかなんてわかりません。
講師をするときは正義を語ったり正解を決めつけたりしないようにしています。知っている範囲で「こういう方法がこういう結果をもたらします」と事実だけを伝えています。
刺鍼即応編で伝えたこと
セミナーの内容についても少し触れようと思います。ここまで読まれた方は、内容に関心をお持ちだと思いますので。扱うテーマは「頚〜背中」の関係と「腰と臀部」の連動関係です。
たとえば、むち打ちで頚が痛いとしましょう。頚を揉んだり頚に鍼をしても、痛みやコリが取れていかないことがあります。なぜだと思いますか。
もちろん理由は色々だと思いますが、背中に鍼をするとあっさり取れてしまうことがあります。重たい頭を頚だけで支えるのは難しいですから、頭は頚と背中の筋肉が協力しながら支えていると考えます。背中の筋肉の方が強力なので、悲鳴は弱い頚から出ていると考えるのです。そこには本当に面白い連動の法則があって、それを知っていると知らないとでは違って見えるのです。
腰と臀部でも密接な連動がありますから、臀部の緊張が取れて動きがよくならないと腰部の痛みが取れないなんてことがあります。逆に、臀部の痛みを取るために、腰の筋肉に注目することもあります。解剖学や機能解剖学では説明しきれない関係がたくさんあります。一点に刺激を加えられる鍼だからそういう関係が見えてきます。こういう関係に着目して臨床をしていると鍼灸師特有の目が養われていきます。
次は脊柱編で椎体の動きを学ぶ
嬉しいことに、刺鍼即応編を受講者さんがすぐに脊柱編に申し込んでくれました。脊柱編は整動鍼を一から丁寧に学びたい鍼灸師(+学生)にぴったりです。整動鍼の基本的な考え方が濃縮されているのが脊柱編だからです。脊柱を構成する椎体一つ一つの動きが、腕や脚にどのように影響を与えているのかを学びます。
子供が腕をグルグルと回しているとき、背骨を触ってみると椎骨がグニャグニャと動いていているのがよくわかります。大人になると動きが渋くなっていき、動いているように感じなくなりますが動いています。背骨の柔軟な動きが全身の柔軟な動きをつくっていると考えて調整するのが脊柱編です。ここにも、緻密な連動が隠されています。解剖学や機能解剖学では語られてない面白い関係があります。まだ数名の空きがあります。はじめての方でも受講できるセミナーですので、少しでも興味があったらぜひ一緒に勉強しましょう。人体が違ったように見えてきますよ。
整動鍼 基礎 脊柱編(2/25-26) 先着順 残り4名(1/31 16:00時点)