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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

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セミナーレポート(腹背編)「変化を出すルールを学ぶ」

6月2日(日)〜3日(月)の整動鍼セミナー「基礎 腹背編」のレポートです。ありがたいことに満席で、会場は全国から集まった鍼灸師でいっぱいです。この腹背編の整動鍼における位置づけを説明します。興味のある方は参考にしてください。

腹背編は基礎セミナーに分類され、完全にはじめての方でも受講できます。初めてでも受講可能なのは、全部で5つあります。下記の図の初心者マークが入っているものです。この5つのどこから始めてもわかるようにカリキュラムはつくられています。やわらみと整動鍼の関係

腹背編の特徴

整動鍼は「ツボと動きの関係」に着目して、従来の鍼灸とはコンセプトを区別しています。従来の鍼灸は「流れを整える」ものであれば、整動鍼は「動きを整える」ものです。対立したり競合する関係ではありません。むしろ、流れが整うことで動きも整うこともあり、動きが整うことで流れが整うこともあります。

このことを理解していただくことを目的につくられたのが腹背編です。従来の鍼灸理論を整動という概念で補強することになります。

従来の鍼灸の基本は臓腑経絡学です。しかし用語を覚えて概念を理解できても、実際の身体で運用しようとするとわからなくなってしまう場合があります。机上の空論に終わってしまうと感じる場合もあるでしょう。ここで考えてみましょう。本来、理論より実践が先だったはずです。

鍼灸は、臓腑経絡学が登場する前から実践されていたと考えるのが自然です。実践する中で得られた気づきが蓄積され、それが後に臓腑経絡学としてまとまったのです。

ですから、当時の医家が扱っていた変化を、臓腑経絡学を通さずに見る必要もあるのではないでしょうか。脳から理論をアンインストールすることで見えてくるものがあると思います。

この腹背編では緻密な腹診図を提供しています。臓腑経絡学をいったん忘れて、主要穴に鍼をすることで腹部にどのような変化が生じるのかを丹念に調べてつくりあげたものです。腹部に変化がはっきり出るものだけを採用しているので、誰でも変化を確認できます。特別な感性は必要ありません。ですから、鍼で起こる変化は共有することができます。

腹背編の練習

腹背編に限りませんが、当会のセミナーは実践練習形式です。受講者さんが実際にやってみて再現できることを確認することが大事だからです。名人芸を追求したり披露することはしません。誰でも(練習させすれば)できることを前提とした内容です。

「誰でもできる」という表現に対して、レベルの低いものを想像される方がいらっしゃるかもしれません。しかし、着眼していなければできないことが山ほどあります。足三里を取穴するにしても、足三里に刺鍼をすることで、具体的にどのような変化が生じるのか、その位置と確認方法を知っている必要があります。

刺鍼をして大きな変化があると名人芸のように思う人もいます。しかし、初学者であってもルールに則して行えば変化を起こすことができます。そういう意味では誰でも名人クラスの施術ができます。整動協会では名人の育成が目標ではありませんが、名人のような変化を誰でも体感することができます。

もともと鍼というものは、驚くような変化が出せるものです。そのポテンシャルに気づいていただけるようにしています。整動鍼がスゴイのではなく、もともと鍼がスゴイのです。

整動鍼基礎「腹背編」

何から受講すればよい?

「どこから受講したらよいのですか?」という問い合わせが多いです。どこから学び始めてもよいカリキュラムになっていますので、学びたいと思ったときに申し込みできる編でよいと思います。この腹背編は内臓機能に着眼した内容ですがスポーツ選手にも使うことができます。他の編と組み合わせることで幅広く対応することができます。

当会のセミナーは症状別ではなくテーマで分かれています。「このツボは〇〇を治します」という紹介の仕方ではなく、ツボがもたらす変化を具体的に示していきます。たとえば「前屈がしやすくなる」という変化であれば、腰痛で腰が曲がらなくなった患者さんに使うことができます。腰が痛くて反れない人であれば、後屈がしやすくなるツボを選びます。

腰痛を例に挙げれば「腰痛」に効果があるツボを探すのではなく、腰痛でつらい時にできなくなっている動作や姿勢を探して、できるようにしていきます。できるようになると腰痛が軽くなります。

整動鍼を学ぶと、患者さんの「できなくなっていること」が特定できると、ツボの候補が出てくるようになります。また圧痛の部位からもツボの候補が出ます。

学び進めると、その選択肢が増えていくだけでなく、ツボとツボの関係性が整動の観点からつながっていきます。1編でも受けると、そこで覚えたことを現在の方法の中に取り入れていくことができます。

予備知識や予習も必要ありません。使うものはその場でテキストで配布しています。完全に新しいコンセプトの鍼灸ですから、新人もベテランも新鮮な気持ちで学ぶことができます。ぜひご一緒に勉強しましょう。

2024年6月6日カテゴリー:セミナーレポート