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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

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セミナーレポート(仙腸関節SP)「骨盤が歪んで見えるのはなぜ?」

仙腸関節スペシャルセミナーレポートのタイトル

代表の栗原です。

「天才がいる」と噂されている人物がいました。それが吉岡一貴先生でした。話を聞くと、仙腸関節に関する知見がずば抜けているとのこと。

鍼灸学校で仙腸関節について習うわけですが、「ほとんど動かない関節」という前提で、解剖学的な名称を覚えて国試に備えるだけです。仙腸関節の役割や機能について深く触れる時間はありません。これは鍼灸師に限ったことではありません。医療系の資格を持つものでも、仙腸関節は「そういう関節がある」ということで流されていくのです。

知りたければ専門書を読むしかありません。とはいえ、読んでもわからないというのが率直なところです。理由は、その関節面が骨盤の奥深くで触診が難しいところにあるからです。可動性が小さいので、肘や膝のように動いているという実感が伴わないのです。

仙腸関節は動く

仙腸関節は強固な靭帯で包まれているので動くはずがないと考えている人もいます。動くはずがないのであれば、なぜ靭帯で覆われているのでしょうか。靭帯の存在が動くことの証明です。靭帯は可動性を制限する役割です。動かないものに靭帯が付着している意味はありません。構造は嘘をつきません。

整動鍼でも仙腸関節は動く立場をとってきました。理由は上記の通りです。吉岡先生も動くという立場で同じ見解でした。ただ、大きく違っていたのは知見の深さです。吉岡先生は私の想像のはるか上を行っていました。

私と違い吉岡先生は、仙腸関節の関節面の形状や仙骨、寛骨の形状から力学的な考察を行い、力の伝達方向をエンジニアのように分析し、数式を解くように仙腸関節の機能を分析していたのです。この分析力が天才的なのです。

否定できない仮説

吉岡先生によると、世に出回っている仙腸関節に関する知見はぜんぶ間違っているとのこと。わかるでしょうか。自分の分析が正しく他は間違っている、と言えてしまうことのすごさが。誤解のないように書き加えますが、吉岡先生は温厚で謙虚な人柄です。「オレこそが正義」とマウントを取っているわけではありません。冷静沈着に分析できる能力があるからこそ、真実に近づいてしまったのです。

真実という言葉を使いましたが、吉岡先生は仮説と表現しています。現時点で吉岡先生の理論を覆す材料が出ていないだけだという立場です。吉岡先生は「自分の正しさ」を主張したいわけでなく真実を望んでいます。だから「否定してほしい」が口癖です。否定しようがないものが真実であるから、批判の目に晒されて初めて真実に近づけると考えているのでしょう。

今回のコラボセミナーを企画した際にも「アンチに来てほしい」と口にしていました。吉岡先生の理論もさることながら、こういう態度が魅力的です。ただ、今回は当会の会員のみで一瞬にして満席になってしまったため、アンチ的な人が申し込む余地がありませんでした。

骨盤の非対称性

吉岡先生は「骨盤は歪む」と考えていて、実際にそうおっしゃっています。私は、その言葉を耳にするたびにドキドキします。SNSで標的になってしまうからです。むしろ、吉岡先生にとってみたらウエルカムなことなのでしょうが、SNS上で生産性のある議論ができるとは限りませんので、心を穏やかにしてはいられません。

今回のセミナーでは「非対称性」という言葉を用いることにしました。吉岡先生によると、仙腸関節は非対称だからこそ安定して動けるのです。非対称性は見た目として「歪み」になります。仙腸関節の動きを理解すると、歪みという言葉に違和感が生じないのですが、仙腸関節の動きを知らないと、強固な骨盤が歪むはずがないと思考を巡らせることができません。

セミナーの雰囲気

吉岡先生の講義は、まるでエンジニアが設計図を開いて説明するようです。仙腸関節の関節面や寛骨の形状から、力学的に言えることを積み重ねていきます。そうすると、消去法によって理屈が通らないことが消えていきます。そして最後にどうしても消せない事実に真実を語らせるのです。数学の証明のような手順です。

通常、2日間に渡って解説している内容を今回は2時間半にまとめていただきました。時間の関係で簡易的になっていた部分もありますが、吉岡理論が凝縮された2時間となりました。

吉岡一貴(仙腸関節塾)

 

後半は私の出番です。吉岡理論を鍼灸術に転化することを目標として過ごした1年で苦戦をしました。違う畑で生まれた技術を導入するというのは簡単ではありません。セミナーでは、このあたりの事情も包み隠さず話しました。私が仙腸関節に着目して到達したのは、腰椎と臀部の間にある連動でした。この連動を仲介しているのが仙腸関節ではないかという仮説を立てました。

鍼治療で吉岡理論を忠実に再現するという目論見は敗れてしまいましたが、整動鍼をアップデートすることができました。

会場は同じでも空気がいつもと違っていました。とても新鮮でした。次回は12月です。受講予定の方は楽しみにしていてください。

仙腸関節スペシャルセミナー

 

2024年7月23日カテゴリー:セミナーレポート