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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

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合宿レポート(基本強化合宿)「上手さの徹底解剖」

代表の栗原誠です。

去る10月6日(日)〜7日(月)は、毎年恒例の合宿でした。

整動協会_合宿_2024年秋

この合宿は「基本強化合宿」とテーマを設け、普段のセミナーでは触れることできない「上手さ」にスポットを当てています。前回のレポートには「下手でも下手なりに効果が出る方法が望ましい」と書いたのですが、その裏には「上手になるほど高い効果が望める」という事実もあるわけです。

私のスタンスは次の通りです。

①普段のセミナーでは誰でも再現できる方法を追求
②年1回の合宿ではよい高い効果を出せる方法を追求

今回は②の方になるのですが、体の使い方を考えながら触診や刺鍼がどうしたら上手くなるのかを考えます。最初に行ったのは「どういう鍼灸師が上手いのか?」という問いかけです。私が一人で考えて用意してきたものを参加者に伝えるのではなく、参加者一人一人に問いかけながら、上手さの多面性を再確認しました。

国民生活センターで合宿(整動協会2024年)

上手さは一つじゃない

人によって上手さの定義が違いますし、それは施術者のどこを重視しているのかの違いです。もちろん、最終的には患者さんが上手さを評価するわけですから、患者さんの目線がもっとも大事です。とはいえ、患者さん一人ひとりの視点や価値の置所が異なりますので一つに絞り込めません。

そもそも上手さとは一つにまとめられない、というところから出発することがとても大事なわけです。その前提の中で、これが上手いという軸を私たちの中で探して決めていくのです。よりどころにするのは普遍的な法則です。こういう触れ方をしたらこう感じるという、共有できるものはたくさんあります。たとえば、緩急や圧の面積、そして方向性などはそろった感想になってきます。

基本強化合宿(整動協会)の様子_2024

練習では、受ける側はどう感じるのか、患者になりきったつもりで受けてみます。相手によって印象が異なることにも気が付きます。私の考えですが、上手い人はというのは、自身の施術が相手にどのような印象を与えているのか、豊かに想像できる人だと思います。施術しながら、常に受け手の感覚を描けるのです。

この精度を養っていくには仲間が必要です。患者さんは聞けないこともありますし、患者さんも気を遣って本音を口に出さないかもしれません。もしかしたら、プライドが高い人は参加しづらいかもしれません。たとえば、私もそれなりに年月を重ねてきたので想像しやすいのですが、ベテランになってそれなりに実績を積み重ねていると若手にあれこれ言われたくないという気持ちがあるかもしれません。

整動協会の基本強化合宿(2024年神奈川)の様子

実技系のセミナーや勉強会は、技量が見え隠れしますから隠したいという人にとっては参加しづらいものかもしれません。そういう意味では門戸を狭めてしまっている可能性があります。しかし、やはり実技系でなければ得られないものがあります。

参加者は互いのバックボーンを尊重し合いながら練習をしているので雰囲気がよいです。ベテランから若手までみなさん謙虚です。好奇心が旺盛で向上心が高いからかもしれません。そういう人たちに囲まれている私も影響を受けます。ちゃんとしていないと合わせる顔がなくて恥ずかしいです。

健康的(?)な夜ふかし

任意ですが、夕食後の練習が終わったあとはおやつ会です。おやつとお酒を口にしながらしゃべるだけ。練習中は技術に関する話しかしないので、こういう時間もないと互いに何を考えているかわかりません。個人的にはこの時間が最高です。

セミナーを仕事にしてだいぶ経ちますが、私は教えることが好きというわけではありません。教えるという感覚はなくて、情報を共有して鍼の面白さを分かち合いたいのです。こういう時間がなかったら、10年以上もやってこれなかったでしょう。

合宿ですから帰宅する必要がないので、一次会の参加率は100%。夜ふかしして体調を壊してはいけませんから健康的な時間に解散。しゃべり足りない人だけ残って二次会に突入。とはいっても、お酒が出ることもない誰もいないラウンジで自前のジュース。中学生かっ!

学生気分

合宿の朝食の雰囲気ってよくないですか? 学生時代を思い出したい私は「いただきます!」の号令をかけていっせいに食べ始めました。食堂を出るのも一緒。社会人になると、こういう足並み揃える場面は滅多にありません。

この合宿はみんなを巻き込んで学生気分を味わうという個人的な趣味を巻き込んでいます。昔を思い出して気持ちだけちょっと若返ります。このときだけなので、みんな勘弁してください。

二日目になると練習中の雰囲気が和しています。セミナーのようにカリキュラムで引っ張っていく必要がないので、様子を見ながらペースをつくっていきます。おおまかにテーマは決めているのですが、その場の雰囲気で寄り道もします。

 

整動協会の基本強化合宿の様子(2024年、神奈川県)

 

ワザの言語化

技術を言語化するのはむずかしいのです。この合宿で連呼したのは「応答性」です。たとえば、皮膚や筋肉に圧を加えたら、相手の体は押し返してきます。その返ってくるものをしっかり感じるようにしました。

 

基本強化合宿2024年_触れ方の練習(整動協会)

 

凝った筋肉があれば「かたい」ととらえるのではなく、反力の乏しさをつかまえるのです。ガチガチの筋肉を「石のようにかたい」と表現する場合があると思うのですが、石は押しても押しつぶせませんし、やりとりができません。マシュマロはどうでしょうか。押したらゆっくり戻ってきます。

応答性が高いほど生命力が充実しているとみなし、応答性の悪いところをツボとしてとらえていくトレーニングです。受け手も自分自身の応答性を感じることを課題としました。日頃のセミナーではツボの位置を座標で絞っていくので、応答性について言及することはありません。ですが、一人のプレイヤー(鍼灸師)としては応答性が技術の要です。

 

来年は10月5日(日)〜6日(月)

来年もやります。今度の会場は埼玉です。
基本強化合宿から触診刺鍼強化合宿と名称を変更します。

2024年10月23日カテゴリー:セミナーレポート