セミナーレポート(五体躍動編)「ツボは張力の起点である」
代表の栗原誠です。
五体躍動編は整動鍼の応用編に位置するセミナーです。この編の特徴は何と言っても運動器疾患に強いということです。連動を駆使して、本来の体のポテンシャルを引き出します。特に受講者の評価が高かったのは足底の調整でした。足底筋膜炎やモートン病など、一般的な方法では難しい症状であっても、連動を用いることで難易度がカクンと下がります。
機能解剖学では説明できない
ここでいう「連動」は整動鍼特有のものですから一般的な機能解剖学では学ぶことができません。しかも、連動のパターンは無数にあるので、一つを知っても終わりません。どことどこが連動しているのか、実際に鍼をして変化を観察することで共有していきます。
連動のパターンを知るほど、人体はパーツで構成されているのではなく、全体の形を保ちながら、そして変えながら、バランスが破綻しないようにうごめく存在に見えてきます。その全体の理(ことわり)を実現させるために、関節や筋肉、そして神経が都合よく存在しているのだと思えるのです。この視点に立つと、関節、筋肉、神経は、思考の出発点ではなく思考の通過点になります。
ではどこに思考の出発点を置くのかというとツボです。鍼灸師がもっとも扱いやすいものだからです。整動鍼において、ツボは張力の起点になるところです。ツボを知ることにより動きがわかり、姿勢がわかり、経絡経穴学との接点を探れば内臓の調子もわかります。
運動器疾患が苦手な鍼灸師
整動鍼を始めようと思ったきっかけを尋ねてみると「運動器疾患が苦手なので」という声が多数返ってきます。鍼灸の本領が運動器疾患かどうかの議論はさておき、運動器疾患のニーズは多いです。このニーズに上手く対応できると臨床力が高く評価されやすい、つまり生計を立てやすいことは間違いないでしょう。
こういう意味では、この五体躍動編は運動器疾患に対する自信を養うセミナーかもしれません。現にたくさんの鍼灸師がセミナーで習得したことを活かして、それぞれのフィールドで活躍しています。学生時代から整動鍼を学び始め、卒業と同時に開業するケースも珍しくありません。
体が動けば心も動く
整動鍼が言っている「動き」は運動器ばかりではありません。心の動きも含まれます。体が動くようになると、その影響は自然と心に及びます。ですので、整動鍼はメンタルヘルスの分野にも大きな可能性を秘めています。実際に、整動鍼を活かしてその分野で活躍している鍼灸師も多いです。肉体に生じる具体的な変化を観察し共有していくスタイルですから、心を扱う際にスピリチュアルに傾く必要がありません。この辺りを深堀りしていくのは身心和合編です。
どこまで学べば整動鍼ができるのか
整動鍼は、精粋1編、基礎3編、応用3編、臨床3編の合計10編で構成されています。どこまで学ぶと整動鍼が使えるようになるのか、これから始めようと思っている方は気になるところかと思います。整動鍼は流派ではなく、動きとツボの関係に着目したコンセプトですから、方法を整動鍼一つに絞り込む必要はありません。これまでの方法より優れていると思うところがあれば置き換えていけばよいのです。
各編を学ぶとどういう変化が現れるのか、目安を示しておきます。
◎精粋:張力の法則を知ることができる。また鍼の即効性と再現性を体感できる。
◎基礎:症状によっては少数の鍼、かつ短時間で変化を出せるようになる。
◎応用:むずかしいと言われている症状でも張力の視点から解決に糸口が見えるようになる。
◎臨床:即効性、再現性、少数鍼で、さまざまな症状に対応できるようになる。
各編はテーマとしては独立していますが、実際にはつながりを持っています。受講数が増えるほど世界が広がっていきます。セミナーには色々なバックボーンを持つ方が参加されていますので、少しでも興味があったら遊びに来てください。
またね。
2024年11月5日カテゴリー:セミナーレポート