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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

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セミナーレポート(活法 入門)「臨床力を飛躍的に向上させる活法の魅力」

臨床力を飛躍的に向上させる活法の魅力

代表の栗原誠です。

2025年のセミナーは活法(かっぽう)から始まりました。

活法と聞いてもピンと来ない方が多いと思いますので、簡単に活法について説明します。活法は整体術の源流とも言える日本の技術で、蘇生術でもあり手技療法でもあります。そこに心理誘導のような要素も加わります。心理誘導は今で言う脳科学的なアプローチでスピリチュアルなものではありません。

活法は戦国時代に誕生したと言われています。古い技術ではあるのですが、脳科学的な視点から見ると、むしろ新しく見えます。ですから、手技療法のように見えて、その範囲に収まらない広さを持っています。やればやるほど深みもわかっていきます。

鍼灸師がなぜ活法を学ぶのか、というそもそもの疑問があると思います。手技療法に浮気せず鍼灸師は鍼灸に専念すべきではと思うのが自然かもしれません。いえ、鍼灸師こそ活法なのです。説明のために手技療法という言葉を使ってしまいましたが、手技療法であって手技療法ではないのが活法です。

どういうことでしょうか。

キーワードは対応力です。患者さんは人間です。当然ながらモノではありませんから、何かをしたら反応が返ってきます。その反応は入率ではなくそれぞれです。その反応に応じていくのが活法です。施術パターンを覚えて型通りに行えばよいというものではありません。活法を学ぶことで、それぞれの反応を読み取りながら適切で適度な対応を身につけることができます。

鍼や灸はすぐれたアイテムだけに、刺したりすえたりするだけで、ある程度の効果を出せてしまいます。その「ある程度」だけを見て、鍼灸の効果だと判断してしまうのです。鍼灸を用いずに患者さんの状態を変えることができるようになると、鍼灸の意味合いが違ってきます。効果を増幅させるツールという認識に変わります。

実際に活法を学んだ人からは「鍼灸の臨床が変わった」という声が多いです。活法を学ぶことで施術者としてのポテンシャルが上がり、鍼灸を持ったとき、それまで以上のパフォーマンスが期待できるというわけです。

武術に置き換えてみると、刀や槍を置いて素手で対戦できる術を向上させる方が、刀や槍を持ったときにより使いこなせるようになって強くなるという話です。

セミナーでは、活法の背景にある考え方を学びます。たとえば「治す」という言葉は用いません。活法は患者さんを治す技ではないという前提を共有します。新人の鍼灸師がSNSで「患者さんを治せるようになりたい」とポストしているのを見かけます。活法の立場からいえば勘違いが甚だしいのです。治すのは患者さん本人です。私たちは患者さんの中に宿る治癒力を鼓舞することまでしかできません。人はモノではありませんから、機械のように修理はできません。

私たちの施術を受けた患者さんが「治してくれてありがとうございました」と笑顔でお礼を言ってきたとしても、治したのは患者さん本人であり、施術者が治してくれたと勘違いしているに過ぎません。

活法は治す技ではありません。今よりもよい方向に導くものです。決して抽象的な話ではありません。たとえば、肘に痛みがあり十分に曲がらないとしましょう。この肘が痛みなく曲げられる状況が今よりもよい状態です。肘が曲がりにくい原因を取り除けば、可動域は広がり、痛みも軽くなります。その変化の割合に対して患者さんは「まだ痛いです」とか「治ってしまいました」と評価をしてくれます。

活法をやって治るかどうかはわかりません。しかし、今よりもよい状態を作り出すことは高い確率で行うことができます。臨床にとって重要だと思うのは、この今よりもよい状態に“その場”で導くことです。患者さんにとっても私たちにとっても小さな成功体験になります。それが重なれば自信となっていきます。

 

セミナーでは、上半身に使うテクニックを3種、下半身に使うテクニックを3種お伝えしています。この練習を通じて活法を体験していただくようになっています。どうしても文字では伝えられない感覚があり、感動があります。

同じ感動を鍼を使っているときにも味わってほしいと考案されたのが整動鍼です。整動鍼からも活法の要素は汲み取れるのですが、芯から理解し使いこなそうと思ったら活法はトレーニングとして最適です。もちろん、活法単独でも効果を発揮するものですから、鍼を持っていないとき、使えないときに役に立ちます。

 

活法入門セミナー(2025年1月22日)の集合写真

 

またね。

2025年4月14日カテゴリー:セミナーレポート