北斗病院で患者さん、医師、そして、鍼灸師が見出したもの。
新たなる挑戦と希望。
整動協会副代表の谷地一博です。
北斗病院との共同研究が進んでいます。
3月15日(木)より、また新たな挑戦が始まりました。
今までは、被験者を北斗病院の職員さんに絞り、肩こり・首の痛み・腰痛・肘痛・膝痛に対する鍼治療(整動鍼)の効果について、科学的検証を重ねてきました。
※ 整動鍼とは、整動協会が提供する鍼治療の新しい技術体系です。
今回からは、一気に検証のランクが上がり、緩和医療に入っているガン患者さんの疼痛と、難治性の神経性疼痛に対して、はり治療は効果があるかの検証に入りました。
結論としては、希望を十分に感じられる結果を得られました。
脳の解析データが出るのが、楽しみです。
〇い巨塔体験
一気に検証のランクが上がったのにはわけがあります。
この日の一週間前の3月8日(木)、整動協会代表の栗原、そして研究リーダーの加藤容崇先生と共に、北斗病院の代表である鎌田一先生と会談させていただき、今回の研究について説明する機会を得ました。
北斗病院は、病院だけでなく、多くの医療施設を持ち、北海道十勝地方の医療の中心を担っている大病院です。
医療を発展させるための大胆な試みも多く、鎌田先生をテレビでお見かけすることが少なからずあります。
漫画に出てくるような立派な応接室で、鍼灸の未来にも関わるかもしれない大物との会談。
否が応でも緊張感が高まります。
会談の行方
鎌田先生に、今すすめている研究の概要と、得られている結果をお話しすると、身を乗り出して「この研究、早くすすめて下さい」と言ってもらえました。
さらに、「ガンの疼痛や、難治性の神経性疼痛にも鍼治療は効果があるの?」と突然の質問が。
思わぬ質問に、一瞬言葉を失いました。
もちろん、取り組むべき課題と考えていましたが、まだまだ先の段階だと思っていたのです。
鎌田先生が私の目をのぞき込んだので、意を決して、できるだけ柔らかい笑顔を心がけながら、「お役に立てるはずです!!」と返事をしました。
その時、高級な椅子に接している私のお尻は、言動に反して汗でべちゃべちゃだったと思います。
次の日、加藤先生から私に、「次回、ガンの疼痛と、難治性の神経性疼痛への検証が決まりました!」と、連絡が入りました。
なぜ、こんなにも早く事が進むのでしょうか?
プレッシャー
実験当日、鎌田先生立ち会いの下、神経性疼痛の患者さん2名に鍼をしました。
難治性、つまり病院では手を尽くしたが、強い痛みが残るという難しい症例です。
効果が鎌田先生の前で確認されれば、鍼灸の大きな可能性が開かれるかもしれない!という滅多にない好機です。
「すごいプレッシャーですよね。大丈夫ですか?」と同行した鍼灸師の山本先生に心配されました。
私は「大丈夫です!本番に強いので」と言いつつも、前日には歯の詰め物がとれたり、この日はiPhoneを家に忘れるなど、無意識下で相当プレッシャーに蝕まれていたと思います。
しかし、不思議なことが起こりました。
患者さんを前にすると、プレッシャーがどこかに消え去ってしまったのです。
それどころか、頭も指も冴え渡り、どうした訳か力が溢れるように湧いてきました。
不謹慎かも知れませんが「ここで鍼ができて嬉しい!」とさえ感じました。
なぜなのか?
いつも通り、だけど大きな変化
ガンの患者さん、そして、神経性疼痛の患者さんへの鍼治療は、両方とも想定以上の効果が出ました。
いつも通りの手順です。一本鍼をして、効果を確認する。多くても3本まで。
ガンの疼痛や神経性疼痛の特別な施術があるわけではありません。
身体の過剰な緊張を探し出し、それに対応するツボで緊張を緩めていく、整動鍼の基本通りの施術です。
患部に鍼をしない整動鍼は、患者さんの負担が少なく、効果もはっきりしているため、難治性の症状に相性が良いと、今回特に実感しました。
医師からの依頼
立ち会っていた緩和医療科の医師から、「もう一人、ガンの患者さんをお願いしてもいいですか?」と、その場で依頼がありました。
手続き後、すぐに患者さんがいらっしゃり、施術に入りました。
普通ではあり得ない光景です。
良いと思ったら、その場で依頼をする医師。それも鍼灸師に。
さらに、すぐに施術が可能となる、病院を挙げての協力体制。
なぜこれができるのでしょうか?
実は、この答えが、施術のとき感じた力につながっていたのです。
症例としては、さらに難しいケースでしたが、またしても想定以上の成果が出ました。
謎を解く、患者さんを囲む顔
今回、施術させていただいた患者さん全員に、大きな成果が出ました。
最も顕著だったのは、患者さんの表情の変化です。
MEG室に入ってきたときから、問診を受け、施術に入るまで、皆さん、しかめっ面を崩すことはありません。途切れることのない、強い痛みのためです。
なのに、帰りは皆さん笑顔なのです。
鎌田先生を始め、立ち会った医師も、鍼灸師も、みんなそれを感じ、驚き、そして喜びました。
患者さんにも効果をしっかりと自覚していただけました。
患者さん全員に「次、いつ受けられるの?どうしたら受けられるの?」と言っていただけました。
難治性の痛みの患者さんの一人が、「あんまり時間が短いんで、治療だなんて思ってなかった。こんなんで楽になるんだ、、、鎌田先生、これすごくいいね。是非続けてよ!!」と笑顔で言われたとき、そこにいた全員が弾けるように笑いました。
そのとき、ずっと気になっていた謎が解けました。
プライドよりも、身分よりも、派閥よりも、アイデンティティーよりも
なぜ、鍼灸師の自分がここにいるのか。なぜ、5億円の機械で実験させてもらえるのか。なぜ、プレッシャーを感じず力が湧いてきたのか。なぜ、大病院なのに派閥もなく科を超えて協力できるのか。
さらに、この研究、最も不思議なのは、こちらからアプローチしたことがほとんどないところです。
はじめのきっかけも、毎週の研究も、今回の難治性・ガンの疼痛への施術も、すべて北斗病院側から鍼灸師である私達に依頼していただいたものなのです。
なぜなのか。
その理由を、施術後の患者さんを囲む皆さんの笑顔を見たときに、気付きました。
ここでは、みんな患者さんのためが最優先なんだ、と。
患者さんのためを前にしたら、大病院の論理も、派閥の権利も、医師のプライドも、学歴や立場の違いも、鍼灸師のちっぽけなアイデンティティーも関係ないんだ。
だから、医師が、大病院のトップが、自分の患者さんを鍼灸師に頼めるんだ。
だから、科を越えて、それどころか国境さえ越えて、すぐに協力できる体制があるんだ。
だから、みんなここで患者さんと一緒に笑ってるんだ。
力の源は、希望
鍼の施術をしているとき感じたのは、そこにいる皆さんの、『患者さんのためにどんなことでもいい、希望をみつけたい、結果が出てくれたら、、』という想いでした。
「鍼って本当に効くの?」「怪しくないの?」「とにかく騙されたくない」という、鍼灸院で毎日遭遇し、施術する度に越えなければならない障壁が、そこにはありませんでした。
「患者さんのために」という大きな目標の下、医師も鍼灸師もない、東洋も西洋もない、大病院のトップと臨時雇用の鍼灸師という立場もない、経験したことのない空間が、そこにはありました。
すごい力を感じました。すごい結果が出ました。これが、純粋な医療としての鍼治療の力なんだと思いました。
患者さんが笑顔になる度に、涙が出そうになりました。
そこにいる全員が、それぞれの希望を見出せたと思います。
患者さんも、医師も、そしてもちろん鍼灸師も。
鍼灸師
嬉しいのは、今回の結果は私が特別なのではないということです。
整動鍼は再現性を重視してデザインされているので、習得すると誰でも同じ結果を出すことができます。
一体、鍼灸師がどれだけの人を笑顔に出来るのか。そう考えると、胸がさらに熱くなります。
鍼灸師の皆さん!
僕たち鍼灸師は、多くの人の希望になれる存在です!
鍼はすごいんです!!
鍼の成果を間近で見た北斗のお医者さん達はこう言います。
なぜ、これが患者さんのために有効に使われていないのか?
なぜ、これだけの技術を持った鍼灸師さん達が、我が国では冷遇されているのか?と。
この疑問は、日増しに大きくなり、わたし達のチームを躍進させる大きな原動力になっています。
鍼灸師の皆さんの注目と参加が、わたし達の大きな力になります。
鍼灸師の皆さん、どうぞ、手を取り合いましょう。
北斗から覗いた鍼灸の未来は、希望にあふれていますよ♡
2018年3月22日カテゴリー:科学的研究
谷地先生の勇気と覚悟に感動しました。有難うございましたm(_ _)m
代表の栗原誠です。
古城さん、副代表に代わって返信します。このコメントに気がついておりませんでした。すみませんm(__)m
私から見ても谷地さんの挑戦には驚くばかりです。感動を分かち合えるみんながいて本当に幸せだと思います。