【5/23-24 活法 下肢編】活法を学ぶ意義を再考する――「レパートリーを増やす」ことの先にあるもの
5/23-24の日程で、活法セミナー「応用 下肢編」が開催されました。
2019年以来となる今回の下肢編は、2021年で最初に開催される活法の応用編です。
下肢が変わると、内臓が変わる
今回の下肢編に収録されている技によって対処できる症状には、膝痛、股関節痛、坐骨神経痛、むくみ、オスグッド病、捻挫、など、その名のとおり足の症状が連なりますが、それだけではありません。下肢の緊張が緩和されることで、月経痛などの婦人科系、泌尿器系のトラブル、お腹の張りが改善されていきます。
活法を学んでいていつも感じるのは、身体に入力される力の強さ、方向など、微妙な要因が変わることによって、効果が大きく変わってしまうことの不思議さです。
人体のメカニズムと一体化する歓び
術者がどこに立つか/座るかによって、技をかけるのが楽になったり、反対に、ものすごく力まなければならなくなったりします。
指をどこにひっかけるか、親指をどこに置くか。普段は意識もしないような細かな身体の運び方に意識を行き渡らせます。
同じ「上に挙げる」という動作でも、手だけで挙げるか、自分の肩甲骨から挙げるようにするかで、挙げやすさも、技の効果も変わってきます。
それが上手く噛み合ったときには、精密に組んだ機械がなめらかに動いたときのような気持ちよさがありますし、慣れてくると、上手くできたときとそうでないときの違いが自分で分析できるようになってきます。
「百聞は一見にしかず」という言葉がありますが、活法に関しては「百見は一実践にしかず」といえるでしょう。
「千見」しても「万見」しても、本当に「できる」ようになるのはきわめて難しい。
一方で、実践しているうちに、着目するべきポイントがわかってくることも活法のおもしろさです。講師が指の使い方の解説をしているときに「肘はどう使っているだろう」、「肩はどこにあるだろう」、「足はどっちの方向を向いているだろう」と、あえて別の部分にも目を向けることで、全体を観察する習慣がついてきます。このような全体を見る観察のしかたを、活法では宮本武蔵の言葉を借りて「観の目」と呼んでいます。
観の目で変わる活き方
ここで養った「観の目」は、鍼をするときの自分の体の使い方にも活かすことができますし、患者さんの状態を観察する目を養うのにも役立ちます。さらにいうと、日常生活での身体の使い方にも意識を向けるようにもなりますし、「活法」という字面のとおり「生“活”の方“法”」すなわち「生き方」にも変化が現れてきます。
活法を学ぶことを、単純に「施術のレパートリーを増やす」と考えるだけでは、あまりにももったいない。
初めのうちは技の手順を覚えるだけで精一杯だと思いますが、練習を重ねていくごとに、その先にある本当の利点、面白さが見えてくるのだと思います。
わたしもまだまだ勉強を続けていく身ですが、最近ようやくそれがわかってきました。
(整動協会 岡本)
活法のおもしろさ、不思議さを感じてみたい方へ
7/18(日)に、活法 入門 理論実践編が開催されます。
臨床に活きる活法の技を身につけに来ませんか?