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鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

活法と整動鍼の使い分け(後編)「テクニックを超えた価値」

整動鍼セミナーの風景

代表の栗原誠です。

中編では、マッサージと活法の違いについて触れてきました。マッサージでは受け手は止まっていますが、活法は動く人を相手にします。この違いは決定的です。必要とされるスキルが全く違います。

違いは他にもあります。最後にその違いを説明してから、表題の「活法と整動鍼の使い分け」に答えを出します。

 

時間の価値

私たちはプロである以上、施術に価値を付け、その価値に納得して頂かなければなりません。その方法は一つではありません。

たとえば、ほとんどのマッサージは時間で価値が変わります。30分と60分で値段が違います。その時間を選ぶのは受ける側です。長い方が高く価値があるのが巷のマッサージ店です。上手でも下手でも料金は変わりません。

決まった時間になれば対価が発生します。時計の針が売り上げをつくっていきます。活法に出会うまで、私は時間を売っていました。

 施術時間に価値をつける

というルールです。私自身がこのルールに縛られていました。活法が縛りを解いてくれました。

活法では施術時間は短い方がよいのです。そもそも、活法は蘇生術(仮死状態の人を助ける術)から始まっています。ゆっくりなどしていられません。戦場ではいち早く回復することが求められます。時間がかかるほどリスクが高まります。

悪い状態から早く抜け出せることに価値があります。10分で歩けるようになるより、1分で歩けるようになる方が大事です。ここに気が付いてから、

 施術効果に価値をつける

に徹することができるようなりました。患者さんに売っているのは効果です。効果を得るために必要な時間は、患者さんから頂いている時間です。施術に時間と回数がかかるほど、患者さんの大事な時間を奪っているのです。

活法をするにしても、鍼をするにしても、提供している価値は施術効果です。奪わないようにしなければいかないのは時間です。

 

活法と整動鍼の使い分け

実は、この記事で言いたいのはたった一行です。

整動鍼を極めると使い分けができない

武術で考えるとわかりやすいです。相手に襲われた時、素手で戦おうか刀で戦おうか、選んでから決めるでしょうか。刀を抜いている暇がない時は素手で対応しなければなりませんし、相手が刀を抜いているのに、素手を貫くのは危険です。

鍼を持っているならば鍼を使う方が有利です。しかし、状況によっては鍼が使えません。その場合にも対応できる技術を持っていることが理想です。武術の心得がない人が日本刀を持っても使えません。鍼も同じです。施術の心得がなければ、鍼は使えません。

活法を習得すると、動く相手に対してどう動けばよいのか、わかるようになります。活法も整動鍼も、基本は整動です。言葉や身振りで相手を誘導します。触れ方一つ変えるだけで、動きを変えることができます。治療は、その延長上にあります。

活法は術者としての在り方となっていきます。だから、鍼を使っても使わなくても活法は使うことになります。実践を通じて、この意味がわかっていきます。

これまでの話を理解して頂いた上で、あえて、活法を徒手療法、整動鍼をツボ療法として考えるのであれば、次のパターンがあります。

①症状に対して使い分ける

全てを学んで身につけるには時間がかかります。熟成するまでの過程で、得意不得意は避けられません。対応できるものをあてがうのでよいと思います。整動鍼をベースに構え、必要な時に活法をさりげなく使うという方法です。ちなみに、私はこのタイプです。

②メニューとして使い分ける

整動鍼と活法を別メニューにします。ただ、常にベストを尽くしたいというタイプの方には向かないと思います。①の方をおすすめします。

③順番を決めて使う

施術の流れとして、「活法→整動鍼」もしくは「整動鍼→活法」です。

活法で残った症状を整動鍼で仕上げるか、鍼で残った症状を活法で仕上げるかになります。身体の調整では、大きい問題に手を付けてから細かな問題に手を付けるのが原則です。活法の方がドーンと変化するものが多いので「活法→整動鍼」の方が理にかなっています。もちろん、整動鍼を極めればドーンという大きな変化を出せます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。結論に至るまで、いろいろと書いてしまったのは、活法が単なるテクニックではないことを伝えたかったからです。活法がなかったら整動鍼は生まれていませんでした。整動鍼を学ぶ場合にも活法を並行してトレーニングするのが理想です。実際は、なかなかそうはいかないので、整動鍼から活法を感じて頂ければと思います。活法から始めた方は、どんなふうに鍼に応用されているのかと想像して楽しんでほしいと思います。

2017年10月9日カテゴリー:技術の話, 活法, 整動鍼タグ: