決戦!!はり治療対決【 栗原 vs 谷地 】
鍼灸師対決の歴史
副代表の谷地です。
鍼灸師の鍼治療対決と聞いて、血湧き肉躍る方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
古今東西、鍼灸師が鍼治療対決をしたという記録はほとんどありません。
鍼灸師としての優劣は臨床での成果よりも、政治的なパワーによって決定されてきた嫌いがあります。
もちろん、医療は優劣を対決して争うものではないという面もありますが、鍼灸の効果が定量化しづらかったというのも、鍼灸師直接対決が行われてこなかった大きな要因ではないかと私は考えています。
(鍼を打つ早さとか、古典をどこまで暗記しているかなど、定量化しやすいものは競われています。)
しかし、鍼灸誕生から2000年(諸説あります)、鍼治療による効果をはっきりと判定できる整動鍼の誕生により、鍼灸師の腕を競う直接対決が、以前よりも容易に実現可能になりました。
そして、ついに、歴史上希有であった鍼灸師直接対決が、ここ北海道の地で実現したのです。
対戦カード発表
気になる対戦カードは!!
じゃーん!!
vs
ジャーンという効果音と共に、ズコーッとこけた視聴者の方は一人二人でないでしょう。。
「提案者(オリジナル)と谷地(コピー)では勝負にならないじゃないか!」
「栗原先生の対戦相手は、藤〇先生とか、山〇先生とか、竹〇先生とか、もっと有名な方じゃないと盛り上がらないのでは?」
「『はじめの一歩』の、幕之内一歩 vs ハンマー・ナオ(ゲロ道) 的なところを狙ってるのでしょうか?」
などのご意見があることは重々承知しています。
しかし、どんなに実力差があろうとも、世紀のかませ犬と揶揄されようとも、男には!鍼灸師には!避けて通れない戦いがあるのです!!(ちなみに『ロッキー』がマイ・フェイバリットムービーです。)
鍼灸師対決実現へ向けて
対決実現のために、栗原先生が整動鍼札幌セミナーの際、我が家に宿泊された機会を利用させていただきました。
好都合なことに、私の妻が、その2週間前から首の痛みを訴えていました。
私が3回ほど治療に当たっていたのですが、治療直後は痛みが消失するものの、その日のうちに痛みがぶり返してしまうという状態でした。
これはチャンスだと考えて、宿主の特権を行使し、栗原先生に私の妻の治療をお願いしたのです。
ここに、同じ患者の同じ症状を治療して効果を比較するという、鍼灸師直接対決が実現したのです。
実力差は当然ですが、効果の違いはどこから生まれるかが分かるかも、という期待をしていました。
戦いが始まる
ゴングと同時に、栗原先生が患部を探ります。
「効かなかったらどうしよう?」と弱気な発言でスタート。
栗原先生は、普段は自信なさげな態度なのに、試合(治療)の結果はエグいところが幕之内一歩と共通しています。
痛みを確認し、ツボを探った後、栗原先生は背中の2箇所に鍼をしました。
ここで、大きな発見がありました。栗原先生が選択したツボは、私が使ったのと同じツボだったのです。
嬉しいことに、見立ては一緒、、、、で、効果はどうでしょう。
まず、当然、その場で痛みは消失しました。首をどう動かしても痛みを見つけられない状態です。
「先生、すごーい!!」と声を上げる妻。
声を大にして言いたいのですが、ここまでは私も出来ています。
妻の反応の違いは、多分に主観的なものなので勝負には関係ありません。
問題の核心はこの後の経過です。
勝敗の行方
結果として、痛みの消失は3日間続きました。3日目で痛みが少し気になってきたとのことです。
3日間の効果継続というのは、整動鍼を使う者にとって大きな意味をもちます。
整動鍼では、一回目の治療で効果が3日間持続する場合、あと数回の治療で完治までもっていける事が多いからです。
ここで、試合終了のゴングです。
「栗原 vs 谷地」の勝負は下馬評通り、栗原先生の圧勝でした。
では、私と栗原先生の治療は何が違ったのでしょうか。
勝敗を分けた2つのポイント
ポイントは2つです。
1,鍼の本数
私は4箇所に鍼をしていました。栗原先生は2箇所です。
使った本数が少ないと言うことは、症状の原因を正確に捉えられているということです。
また、使う本数が少ない方が効果の持続時間が長くなると、整動鍼では考えます。
2,取穴の正確性
妻に受けた感じの違いを聞きました。
「栗原先生は、痛いところに触れるとき、痛みの中心に正確に触れている感じがした。お前の場合は、痛いところに触れているが、やや曖昧な感じ。ツボに関してもそうだった。」とのことです。
つまり、取穴の正確性が違うのです。
整動鍼のツボの大きさはゴマ粒程度の精度を求められます。
自分の施術も効果が出ていたことから、ツボには当たっているはずです。しかし、栗原先生は、ゴマ粒程度のツボのさらに中心を捉えているという事なのだと思います。
取穴の正確性は、効果だけではなく、効果の持続時間にも影響する事が示唆されました。
敗戦から学べ
その後、この2つのポイントに気をつけて臨床に当たってみました。
すると、臨床での成績が目に見えて上がりました。
妻の首の痛みも、この後2回の施術で、痛みが気にならない状態まで回復させることが出来ました。
鍼の使用本数の少なさと、取穴の正確性が重要なのは頭で理解していましたが、勝負ではっきりと差が出たことで、臨床での意識が飛躍的に高まりました。
勝負には負けたけど、得られたものは鍼灸師人生にとって大きかった、、、まるでロッキーみたい!!(自画自賛)。
真剣勝負の場
自分が主催する札幌の整動協会公認勉強会でも、真剣勝負の場を設けています。
勝負はまず、参加者が抱える実際の症状に対して、どのツボを使うかの議論から始まります。
整動鍼を修得済の参加者が、セルフで治せていない症状なので、臨床で苦戦する症状が少なくありません。
整動鍼の基礎だけでは難しい症状なので、技術の応用力が試されます。
そのため、使いたいツボの候補が分かれてきます。
その後、順番に一本ずつ鍼をして効果を確かめ、勝敗を決めます。
整動鍼の勝負は、理論の整合性、古典に対する理解力、解剖学の知識の豊富さ、臨床歴の長さ、偉い人とのコネクションなど、机上の優劣で勝敗が左右されることはありません。
純粋に、鍼をしてハッキリとした効果が出るかどうかだけの真剣勝負です。
真剣勝負ですが、同じ技術を共有する仲間同士、和気藹々と盛り上がり、失敗しても笑いが絶えません。その上、実際の結果を目の当たりに出来るので、毎回多くの発見があります。
戦いの果てに
このような鍼灸バトルを繰り返すことで、鍼灸師の臨床力は飛躍的に高まり、整動鍼の進化も加速していくはずです。
効果がハッキリとしていて分かりやすいという整動鍼の特徴は、鍼灸師バトルという思わぬ副産物を生みだしました。
2000年間、封印されてきたパンドラの箱が空けられた先には、何が待っているのでしょうか。
それはきっと、希望だと私は信じています。
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