とある科学の整動鍼(3) 臨床ってなあに?
前回のおさらい
前回のブログで盛大に学術とはなんぞ?という内容を書かせて頂きました。
自分も学術について学んでる真っ最中なので、一緒に学んでいきましょう!的な立ち位置でご理解頂けると幸いです。
さてさて、そんな強めの予防線を張ったところで次のお題は「臨床」というこれまた大きめのテーマでお送りします。
臨床という単語の意味
「臨床」の意味っていまいちわかりにくくないですか?
臨床心理士・臨床医学総論・臨床実験・・資格の名前や学問の名前等、かなり幅広く使われてますが、即座に意味を理解するのは難しいかもしれません。
そこで、分かりやすく図解しましょう。
見ての通り、狭義の意味の臨床は患者さんと接することを指します。
臨床とは医学や鍼灸にとっても患者さんと接する現場のことであり、それと対になるのが学術や研究ですね。
臨床の実際の意味としては「現場」に近いと思います。
臨床のはっきりした定義はありませんが、実際に鍼をする「行為」だけでなく、問診や臨床記録を書くなどの部分も含まれるのではないでしょうか?
臨床だけでいいのか問題
こんな話をするのも、自分が今まで鍼灸の「臨床」の部分ばかりフォーカスしていたからです。
自分語りで恐縮ですが、僕はかつてカルテに対して苦手意識がありました。
過去のデータよりも、頭の中に(無造作に)蓄積された経験則に頼る臨床が多かったです。
それはそれで職人的なダイナミズムに溢れていましたが、同じミスを犯したり、やらなくても済むことをしていたりと無駄な部分がありました。
「お前の記憶力の問題だろ!」と言われたらそれまでですが、「臨床だけ」というスタイルは自分には厳しかったですね。
臨床家のカルテ
では、記憶力の良い治療家はデータに頼らないのでしょうか?
織田信長をはじめとする戦国大名から信頼されていた名医、曲直瀬道三(まなせどうさん)の後継、曲直瀬玄朔(まなせげんさく)は自身のカルテをまとめた本、医学天正記を後世に残しています。
時の天皇陛下、織田信長や徳川家康などの大御所から足軽、町人までの病状や治療内容、診療方法は事細かに記されてます。
なんとその数、345例!
中医学的な分類ですが、現在はネット上に公開されていますので、興味ある方はご一読を!
医学天正記
400年以上前の臨床家でさえも、細かくデータを取り、後継に残していたわけです。
臨床とは
床に臨むと書いて臨床。
当然のことながら、データだけ見て臨床がうまくなるわけではありません。
ですが、400年前の名医のように、データを活用してこそ臨床が生きてくるのではないでしょうか。
次回は「臨床と学術研究」について書いていきます。
2018年4月18日カテゴリー:科学的研究
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