一般社団法人 整動協会 ホーム

鍼灸師と柔整師のための鍼灸と整体の実践セミナー Seminar for Acupuncturist and Judo therapist

論文書いてどうなるの?難しい話を谷地副代表に聞きまくってきたよ。

こんにちは、整動協会学術研究部の舟橋です。

突然ですが、学術や研究って難しいイメージがありませんか?

もちろん実際に難しいんでしょうけど、難しいこと研究してる人に低次元な質問とかってしにくいじゃないですか。

イチローにバットの持ち方なんて聞けないよ、的なやつです。

 

公の場で「質問がある方は気軽にどうぞ〜!」

なんて言われても、気軽にバカ晒すのは誰だって怖いもの。

 

結局質問できず、なんとなくわかった雰囲気でどんどん話が進んでいってしまう・・なんてこと、ありますよね。

 

そこで!

今回は整動協会の副代表であり、MIRAIプロジェクトにも関わっている谷地先生にそれこそ「バットの持ち方」から質問してみました。

 

(質問は整動協会の会員さんから秘密裏に集めさせて頂きました)

 

論文化する理由、そして根拠

舟橋:今日はよろしくお願いします。

早速ですが質問です。

よく「論文化が目標」と聞きますが、なぜ論文化するのか教えてください。

 

谷地:まず第一に、自分たちの最終ゴールは鍼治療を核にした医療制度の改革です。

医療制度の改革をするためには、医師をはじめとした沢山の人の協力が必要です。

なによりも、はり治療が医療として認められる必要がります。

厚労省や医師・研究者にとって、鍼が効果があると判定できる最も強いアイテムが論文です。

医師に限らず理系の訓練を受けたことがある人にとっては、「根拠=論文」なんですよね。

自分達で「これ効くよね」とか、いくら力んで言っても社会は変わらない。

鍼灸師の皆さんも、医師に「鍼ってエビデンスがないよねー」と言われて、色んな事がそこでストップしてしまうことがあるんじゃないでしょうか。

それをひっくり返そうと。そのための論文化です。

論文があれば、鍼治療をめぐる様々な障壁が崩れ、一気に改革が進む可能性があるのです。

 

鍼はどうして効くのか?の研究

舟橋:なるほど。

僕ら鍼灸師が直面する課題として「鍼がどうして効くのか?」というものもありますが、その辺りについてはどうでしょう?

谷地:「鍼がなぜ効くか?」は非常に重要な課題です。鍼灸師はもちろん、研究者にとってもワクワクする内容ですし。ただ、時間とお金が莫大に必要です。

ステップとしては、「鍼が効くかどうか」「鍼の効果を数値化する」「どんな症状に、どのくらい効くのか」

を証明するのが先になるでしょう。それだけでも、医療として十分すぎる証拠になります。

なにせ、「麻酔はなぜ効くのか?」もわかってませんからね。医療として認められるには、効果が証明されれば十分なんです。

「鍼はなぜ効くか?」は、その後、取り組んでいく形になるでしょうね。

論文は、何本も出していきます。ステップを踏みながら、多くのことを証明していきます。

鍼治療の世界は、科学者にとっては宝の山です。

例えば、癌の研究なんかは、色んな事が掘り尽くされてしまって、ずいぶんニッチな所を深く掘っていかないと発見はありません。

鍼治療は、今のところ、まともな研究が少ないので、ちょっと掘ったら巨大な金塊がわんさか出てきてしまうような状況です。

高品質な論文を出すことが出来れば、協力者も増え、予算が集まってくるのも期待出来ます。

舟橋:わかりやすい説明ありがとうございます。

インタビューは朝6時半の軽井沢にて行われました。

前日は整動協会の合宿の為、3時に就寝したはずの副代表ですが、バイタリティ全開です。

 

舟橋:次の質問です。「刺鍼するツボによって脳が反応するとこは同じですか?」

会話の内容などで脳の反応する場所が違う、というのはよく聞く話ですが、鍼の場合はどうなんでしょう?

 

谷地:鍼をしたとき、脳の特定の部位が反応していることは見えてきています。

詳細は論文化まで明らかにできないですが、純粋な脳の研究としても興味深い現象を確認しています。

 

研究者ってどうやって予算をゲットしてるの?

舟橋:医者や研究者にとっての研究の価値ってなんでしょう?極端な話、お金をもらえたりするんですか?

谷地:研究者は、物事に隠された理屈を解き明かしたいという願望が非常に強いタイプがなる職業です。

例えば、セミの羽の構造と羽につく細菌の関係性について執拗に調査するのが苦じゃない、どころか喜びを覚えるようなタイプが研究者には多いです。
(あくまで例えです)

研究者は、毎日何をやっているかというと、まず、自分が研究するテーマの論文をメチャクチャ読みあさります。

そこからヒントを得て、自分の研究をデザインし、実験を繰り返します。そこから得られたデータをまとめて、論文化します。論文は科学雑誌に投稿されます。論文は雑誌の担当者(科学者)に査読され、価値と妥当性が認められれば、雑誌に掲載され、初めてここで評価されます。

科学雑誌にもランキングがあって、権威のある雑誌に掲載されればより高い評価を得たことになります。

 

舟橋:科学雑誌の権威ってどうやって決まるんですか?

谷地:科学雑誌は掲載された論文の引用数で評価されます。沢山引用されるためには、価値のある研究であることと、信憑性が高いことが重要です。権威ある雑誌は、ここを担保するために、それぞれの分野で実績のある研究者に論文の厳しい査読を依頼します。

東大医学部の教授でも、トップクラスの雑誌に載ることは希です。それくらい厳しいものです。逆に言うと、トップクラスの雑誌に論文が掲載されると、世界中、どこの研究室からも一流の科学者として歓迎され、就職口に困らなくなります。

 

査読とは

学術誌に投稿された学術論文を専門家が読み、その内容を査定すること。

小学館 デジタル大辞泉

 

雑誌掲載により、研究が評価されれば、研究予算が集まります。

そもそも、大学の教授は予算を獲得するのも大切な仕事。

研究する論文化雑誌に掲載予算獲得研究・・というのが研究者の歩む道、というとわかりやすいかもね。

研究が評価されれば、大学に所属してる研究者でも、外部から予算がつくこともあります。

中には、数億円単位で寄付を受けることも。

有益な研究には予算が集まるという、合理的なシステムですが、欠点もあります。

例えば、エイズのように、患者さんがたくさんいる病気の研究は進むけど、患者さんの数が少ない難病には予算が集まらず、研究が進まないという負の面もあります。

 

舟橋:個人的の今の話はかなり面白かったです。

楽しい時間なのですが、最後の質問です。

「鍼灸師側から◯◯の症状の研究もしてほしい」とリクエストできますか?

 

谷地:できます。むしろして下さい。

もちろんすぐにスタートできるわけではありません。

が、研究者は鍼をしてる現場を見て、ビックリすると共に、非常に興味をもって頂いてます。「これって、他に何に効くんですか?」という質問を少なからずされます。是非、鍼灸師の側から、こういう症状も効果がみられるので、研究して欲しいという要望をジャンジャン出して欲しいですね。

 

舟橋:興味深いインタビューありがとうございました。

さいごに

6時半からの散歩インタビューはとても充実した時間になりました。

整動協会が設立してからというもの、目まぐるしく変わる状況に毎日ダッシュしてる心境、というのが本音です。

正直自分もわからない・聞きたいことはたくさんあります。

そして、聞きたいことを聞けなかったりする気持ちもよくわかります。

今回のインタビューは整動協会の会員さんから質問頂いた内容を元に行われました。

直接聞けないよって方は僕でもいいので、こっそり質問してください。

こうして匿名でインタビューさせて頂くかもしれません。

 

2018年9月9日カテゴリー:科学的研究タグ:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です